Sponsored Link

ご訪問いただきありがとうございます。
この記事は、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)について勉強中の法律家が、個人の備忘を兼ねて綴ったものです。
この記事は、具体的な法律問題を解決することを目的とはしておりません。記載内容の正確性は保証できませんが、なるべく根拠を掲載するようにしておりますので、読者の皆様による検討の一助になれば幸いです。

医薬品とは

「医薬品」とは何か。
薬事承認を得た薬のことでしょ?と尋ねられることがよくありますが、実際は異なります。
薬事承認を得ていなくても、「医薬品」に該当することはあります。

薬機法には、以下のように定義がされています。


Sponsored Link

第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

具体的には、通称「46通知」と呼ばれる以下の厚生労働省通知により判断されます。

昭和46年6月1日薬発第476号「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」
厚労省ウェブサイトの関連通知より飛べます。

人が経口的に服用する物が、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第1項第2号又は第3号に規定する医薬品に該当するか否かは、医薬品としての目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断することとなる。通常人が同項第2号又は第3号に掲げる目的を有するものであると認識するかどうかは、その物の成分本質(原材料)、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的・効能効果・用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断すべきものである。
したがって、医薬品に該当するか否かは、個々の製品について、上記の要素を総合的に検討のうえ判定すべきものであり、その判定の方法は、Ⅰの「医薬品の判定における各要素の解釈」に基づいて、その物の成分本質(原材料)を分類し、効能効果、形状及び用法用量が医薬品的であるかどうかを検討のうえ、Ⅱの「判定方法」により行うものとする。

つまり、主に以下の要素に照らして判断することになると考えられます。
i.成分
ii,効能効果
iii,形状
iv.用法用量

  • i.成分

前掲厚労省ウェブサイトの中に、
・(参考)別添1.専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト
・(参考)別添2.医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト
が掲載されています。
別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」が含まれている製品については、下記の2~4の要素にかかわらず、原則として医薬品と解釈するとされています(後述)。

  • ii.効能効果

例えば、以下の様な表示はNGとされています。
・高血圧の人に
・ガンがよくなる
・体質改善効果のある○○成分を含んでいます。
・○○医師談:「○○成分はガン予防に効果があると考えられます。」

  • iii.形状

医薬品に用いられる形状を使用するのはNGです。例えばアンプル形状などが該当します。
ただし、錠剤、丸剤又はカプセル剤については、食品であることを明示すれば、形状のみを理由に医薬品とは判断されない、とされています。

  • iv.用法用量

原則として医薬品的な表現となる用法用量として、46通知では以下の例が挙げられています。

(例)1日2~3回、1回2~3粒
1日2個
毎食後、添付のサジで2杯づつ
成人1日3~6錠
食前、食後に1~2個づつ
お休み前に1~2粒

飲む時、量、飲み方の指定をする記載がこれに該当すると考えられます。

医薬品の判断基準

46通知においては、以下のように判断基準が示されています。
1.「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」が含まれる場合、原則として医薬品に該当する。
2.1に該当しなくも、上記ii~ivのいずれかに該当する場合、原則として医薬品と判断する。

食品・サプリメントが医薬品とされた場合の効果

薬機法上の「医薬品」は、その業としての製造、製造販売、業としての販売をするためには、厚生労働大臣の許可ないし承認が必要とされていますので(それぞれ薬機法13条、14条、24条)、それらを得ないと、薬機法違反となってしまいます(このような医薬品は、「無承認無許可医薬品」と呼ばれます)。
また、その広告をしただけでも薬機法違反となってしまいます(薬機法68条)。

(製造業の許可)
第十三条 医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造をしてはならない。
(医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造販売の承認)
第十四条 医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。
(医薬品の販売業の許可)
第二十四条 薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列(配置することを含む。以下同じ。)してはならない。ただし、医薬品の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入した医薬品を薬局開設者又は医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者に、医薬品の製造業者がその製造した医薬品を医薬品の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、又はその販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列するときは、この限りでない。
(承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止)
第六十八条 何人も、第十四条第一項、第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の二十三第一項に規定する医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ第十四条第一項、第十九条の二第一項、第二十三条の二の五第一項、第二十三条の二の十七第一項、第二十三条の二十五第一項若しくは第二十三条の三十七第一項の承認又は第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。